「『赤い人』が唄っている歌はどういう意味があるんですか? おかしくなった仲間まで、その歌を唄うようになったんです。誰かに操られているようだと、俺は聞きました」


「ど、どういう事だ? 僕は……そんな事、知らないぞ」


何かを隠している様子はない。純粋に驚いた様子で八代先生は、私達にそのギョロッとした目を向けたのだ。


「知らない? そんな事はないでしょう。八代先生が裏で糸を引いてるんじゃないんですか?」


怪しげな八代先生に、翔太が核心を突く言葉を言い放った。


しかし、あせった様子で首を横に振る。


「じょ、冗談じゃない! 本当に知らないんだ! それに、僕が何をできるって言うんだ! 僕はね、親切で教えてあげてるんだよ」


さすがに、その言葉にはカチンときたのか、眉間にしわを寄せ、翔太に反論する八代先生。


「じゃあ、教えてください。『小野山美子』の『呪い』とは何なのか。『カラダ探し』について、先生が知っている事を全部!」


そう問い詰めた翔太に、困ったような表情で、ノートを突き返した。


その行動は、どういう意味があるのだろう。


まだ何かを隠そうとしているのか……。


「仕方ないな。今日は、田村先生と約束があったんだけど。キミ達が、僕の知らない事に巻き込まれていると言うなら、17時で仕事が終わるから、その時に来ると良い。僕が知っている事を教えよう」