私達は、何もわからないまま、学校に行くしかなかった。


八代先生に、きくしか今のところ方法がない。


その後、理恵と合流して学校へと向かった。


その途中にいる猫も、いつものように留美子に頬ずりをして、特に「昨日」が変わっている様子は見られない。


学校に到着しても、教室に入っても、変化はなくて……。


いつもと違うのは、翔太が明るい表情でいるという事だけ。


「翔太、おはよう」


「ああ、おはよう」


あいさつを交わしただけでも、その変化がわかる。


喧嘩をする前のような、自信に満ちた声だ。



「留美子、昨日は言えなかったけど……ありがとうな」



「別に良いって。どうせ毎晩死ぬんだしさ。それに、まだ半分残ってるんだよ? やっと折り返しじゃん」


少し照れた様子で頭をかく留美子。


なんだか、良い雰囲気に見えるけど、ふたりに、そのつもりはない事はわかってる。


良い喧嘩友達。そんな関係なんだろうな。


「それより、高広はどうしたんだ? ムスッとして……」


教室に入って早々に、自分の席に座る高広。


翔太も、昨夜は玄関前のホールで力尽きたから知らないんだ……。


「あのね翔太、実は健司が……」


八代先生に直接きくべきか悩んだけれど、翔太に話して、上手くまとめてもらった方が良さそうだと私はそう思った。