「行ってきまーす」
玄関を出た私は、最近はいつものようにそこにいる高広が目に入った。
昨夜、私は健司に何かをされたわけじゃないけど、玄関で会ったきり、その後は一度も会っていない事が疑問だったのだ。
一体、どこで何をしていたのか。
そして、なぜ健司が自ら屋上から飛び降りたのか。
「高広、おはよ。昨日はどこにいたの?」
私のあいさつに、背を向けて立っていた高広が、ビクッと反応する。
「お、おう。昨日はだなぁ……わかんねぇんだ」
その答えの方がわからない。
あんなにぐったりとした健司と一緒にいて、わからないはずがないのに。
「なにそれ。高広の言ってる事の方がわからないよ」
私の言葉に、ばつが悪そうに唸る高広。
「それがよぉ、お前らが校舎の中に入ったのを見届けてから、健司を連れて中に入ったんだよ」
昨夜、私達は4人で、急いで西棟に向かった。
そして、二階で二手に分かれたわけだけど、高広と健司の行動は知らない。
一体、どこに行っていたのか。
「……唄い出したんだよ。あの歌を。その後、俺は急に目の前が真っ暗になって、それで気づいたら朝になってた」