あまりに鈍感な高広に、留美子が怒鳴り付ける。


そこまで怒らなくても……と、思ったけれど、その気持ちはわからなくもない。


「そんなに怒る事ねぇだろ。助かる方法? んなもん簡単じゃねぇか。遥に頼まれなきゃいいんだろ? 『カラダ探し』を」


頼まれなければ良い……。


それは考えてはいたけれど、そんな事が本当にできるのか、私にはわからなかった。


高広が言った事が、上手くいくかはわからない。


けれど、もしかすると、遥に頼まれなければ、今日は「カラダ探し」なんてしなくて済むかもしれない。


「……じゃあ、こうしたらどうだ? 遥が俺達に『カラダ探し』を頼みに来たのは13時過ぎだ。だから、遥が席を立ったら、皆バラバラに逃げるんだ。それなら、たとえ追いかけられても、頼まれるのはひとりで済むかもしれないだろ?」


なるほど。翔太が言っている事は、今できる最善の方法かもしれない。


でも……。


「ちょっと待って……それじゃあ……もしかすると、この中の誰かひとりだけが『カラダ探し』をするかもしれない……って事だよね?」