理恵にきいても、その答えが出るはずがない。


私は……そのドアに手を伸ばした。


ドアノブを握り、ゆっくりと回すと……そのドアは、音もなく開いた。


死ぬかもしれない。


なんて考えたのが、馬鹿みたいに。


屋上に出た私と理恵は、探すような所のない、この場所を見回して、溜め息をついた。


何もないじゃない……。


まあ、こんな所にカラダがあるなんて思ってもいなかっけど。


柵の内側を回るようにして、振り返らないように……私達は移動した。


「探すなら、向こう側も探さないとね……でも、なんだかここは気味が悪いね」


屋内とは違い、月明かりに照らされている屋上は明るい。


けれど、ここから見える、照明の消えた校舎は不気味で……私達の死を、嘲笑っているかのようにも見える。


これが、「小野山美子」の「呪い」なのだろうか。


「皆……私達が夜になったら、ここで死んでいるって事を知らないんだよね」


屋上の北側の端まで歩き、弧を描くようにして、来た道を戻る私達。


避雷針に頭が刺さってたら……なんて冗談を、いつか言っていたけれど。