「まっかなふくになりたいな~」






「赤い人」が歌を……唄い終わったのだ。


留美子が死んだ、そして翔太も死んだ。


翔太がカラダを見つけてうれしいと思ったけど、それは、留美子の犠牲があったから。


私自身に、「赤い人」が襲いかかってこなかったから、余裕が生まれていただけ。


私達はどこに行くという目標もなく、ただ階段を上り続けて……屋上に出る、ドアの前で立ち止まった。


「ハァ……ハァ……明日香、やっぱり……怖い」


息を整えながら、床に腰を下ろして呟く理恵。


私だって怖い。


軽々しく「犠牲になる」なんて考えてたものの、死を目の当たりにすると、それはきれい事だったのだと思い知らされた。


そして……この場所にも恐怖を感じる。


目の前には、屋上に出るドア。


「赤い人」が屋上に現れたから、大丈夫だとは思うけど、もしもこのドアが開かなかったら……。


私達は、振り返らないと階段を下りられないのだ。


そのドアを見つめたまま、呼吸が落ち着くのを私達は待っていた。


「私も怖いよ。それに、このドア……開くのかな?」