棺桶にそれを納める事ができるなら、次に犠牲になるのは、私でも良いとさえ思っていた。


東棟に入り、右に曲がるとすぐにある階段を下りる私達。


階段を下りて、右に曲がって玄関前のホールへと走った。


「明日香、なんかうれしそうだね」


走りながら、私に話しかける理恵。


確かに、翔太がカラダを見つけてうれしいけど……そんなにうれしそうに見えるのかな?


「理恵は? カラダが4つ。やっと半分見つかったんだよ」


「うん……そうだね。あと半分で、『カラダ探し』が終わるんだね」


フフッと笑いながら、隣を走る私の顔を見る理恵。


「カラダ探し」の最中に、笑う事なんてほとんどないから、その笑顔はなんだか安心する。


そして、事務室の前を曲がり、玄関へとたどり着いた私達。


すでにホールでは、翔太が棺桶に左脚を納めたみたいで、満足そうな表情で天井を見上げていた。


でも、その背中には「赤い人」がしがみ付いていて……。


私達は、そのホールに入る事はできなかった。


「あ、明日香……『赤い人』が」


さっきまで笑っていた私達だったけれど、その光景を見て……その場から逃げ出した。


理恵の手を引き、ホールには入らずに西棟へと向かう。


そして、西棟の階段に差しかかった時……。