そう思い、前を向いた時だった。


身体は前を向いている遥の頭が……あり得ないくらい回って、私を見ていたのだ。


な、何よあれ……。


あまりの怖さで、慌てて視線をそらした私は、それから一度も前を向くことができず、ブルブルと身を震わせて、時間が経つのを待つ事しかできなかった。








「おい、お前ら、俺はすごい事に気づいたぜ!」


昼休みになり、集まって話をしていた私達に駆け寄って来たのは高広。


「なんと、今日は昨日なんだぜ! 弁当のおかずが同じだったから、おかしいと思ったんだよな……」


今さら、何を言っているのだろう?


それに、朝に鏡を見なかったのかな?


高広の顔に、頭部を斜めに切られたようなアザがあるのに。


「お前、今頃気づいたのか? 俺達は今、どうすれば助かるか、考えているんだ」


呆れたと言った様子で、翔太が高広をバカにする。


いつもの光景だけれど、私達6人がこうして話をする事は一度もなかった。


少し不思議な気がしたけど、居心地は悪くない。


「……なんだよ、大発見だと思ったのに。じゃああれか?お前らもあの夢を見たのか?」


「あれは夢じゃないんだって! あんた、夢の中でも寝てたじゃん! 校門の壁を蹴って、玄関のドアが開かなくて! それであんたも殺されたんでしょ!? 『赤い人』に!」