「って、言っても……もう、この部屋に用はないんだけどね。校内放送まで、椅子にでも座ってようか」
そう言い、準備室のドアを開ける留美子。
私もそれに続いて音楽室に入り、「赤い人」が弾いていたグランドピアノに目をやった。
白い鍵盤に、無数に付けられた赤い斑点。
激しく弾いていた、「赤い人」の指の血が付いたのだろう。
それでも、あれだけ真っ赤に染まっているのに、床に足跡が残っていないのが不思議だ。
「結局さ……『赤い人』が『小野山美子』だってわかっても、何も変わらないね。『赤い人』は襲ってくるわけだからさ」
椅子に腰かけて、机に頬杖をつきながら、理恵が溜め息をつく。
確かに「赤い人」の正体がわかったところで、私達がやる事は同じ。
殺される時は、変わらず殺されるのだから。
「そう言えばさ、高広と翔太はどこにいるんだろ? 最初に別れてから会ってないけどさ」
校内放送が流れずに、いまだに音楽室にいる私達。
まだ生産棟の三階に「赤い人」がいるかと思うと、うかつに身動きが取れないのだ。
「高広はまあ、あの様子だったら、健司をしっかり見ててくれてるんじゃないかな? 翔太はどうだろ? やる事があるみたいだけど……」
そう言い、準備室のドアを開ける留美子。
私もそれに続いて音楽室に入り、「赤い人」が弾いていたグランドピアノに目をやった。
白い鍵盤に、無数に付けられた赤い斑点。
激しく弾いていた、「赤い人」の指の血が付いたのだろう。
それでも、あれだけ真っ赤に染まっているのに、床に足跡が残っていないのが不思議だ。
「結局さ……『赤い人』が『小野山美子』だってわかっても、何も変わらないね。『赤い人』は襲ってくるわけだからさ」
椅子に腰かけて、机に頬杖をつきながら、理恵が溜め息をつく。
確かに「赤い人」の正体がわかったところで、私達がやる事は同じ。
殺される時は、変わらず殺されるのだから。
「そう言えばさ、高広と翔太はどこにいるんだろ? 最初に別れてから会ってないけどさ」
校内放送が流れずに、いまだに音楽室にいる私達。
まだ生産棟の三階に「赤い人」がいるかと思うと、うかつに身動きが取れないのだ。
「高広はまあ、あの様子だったら、健司をしっかり見ててくれてるんじゃないかな? 翔太はどうだろ? やる事があるみたいだけど……」