ポロン……。
この音は……ピアノの音?
私達が、準備室にいる事に……「赤い人」は気づいていない様子で、ピアノの鍵盤を弾く音だけが聞こえる。
ホッと、胸をなで下ろしたが……次の瞬間。
「キャハハハハハハハッ!!」
と、笑いながら……ピアノをメチャクチャに弾き始めたのだ。
こんな状況で、曲にもなっていない騒音を聴かされるのは気持ち悪い。
ジャンジャカジャンジャカという、ただの騒音と共に聞こえる不気味な笑い声。
私達は……恐怖に震えて耳をふさいだ。
このドアを一枚へだてた向こうに、「赤い人」がいる。
ピアノをメチャクチャに弾き、大笑いしているのだ。
耳をふさいでいても、その音が聞こえてくる。
こんな所で遊んでないで、早く出ていって!!
私がそう思っていると……。
ピアノを弾く音と、笑い声がピタリと止まったのだ。
そしてまた聞こえるあの歌声。
その声は、準備室の前を通り、ドアが開く音がして、すぐに聞こえなくなった。