キィィィィ……。
音楽室のドアが、ゆっくりと開いて……「赤い人」が入ってきたのだ。
「あ~かい ふ~くをくださいな~」
どうしよう……入ってきちゃった。
私が、こんな状況で見つからなかったのは、西棟の三階にいた時だけ。
東棟の二階の教室でも、会議室でも見つかっている。
もう、ふたりと会話する事もできない。
この準備室のドアが開けられたら、目を閉じて「赤い人」を見ないように逃げるしかない。
それが、できるかどうかはわからないけど、そうなったら、やるしかないのだ。
「し~ろい……」
そこまで言って、「赤い人」が唄うのを止めた。
もしかして……私達に気づいたの?
息をのみ、いつでも動き出せるように私は身構えた。
しかし……。
ポロン……。