私の前を通り過ぎる理恵が、指で丸を作って見せる。
私が、翔太と電話していた時に見せたやつだ。
準備室の中に入っていく、理恵の背中を見送りながら、廊下の音に集中した。
誰かが来れば、すぐにわかるほど廊下は静まりかえっている。
聞こえるのは、ゴウゴウという音と、準備室から聞こえる留美子と理恵の声だけ。
このまま準備室も調べ終わってくれれば……音楽室の前にも、下へと続く階段がある。
すぐそこに逃げればいい。
「ダメだよ明日香……ここには無かった」
しばらくして、ガッカリした様子で留美子が準備室から出て来た。
「そう……じゃあ、今ならまだ声も聞こえていないから、すぐに二階に下りよう」
そう返事をして、立ち上がろうとした時だった。
「……つかんであかをだす~」
あの歌を……微かではあるが、聞き取る事ができたのだ。
廊下から聞こえたその声に、慌てて私はドアに耳を当て直す。
「明日香? 何してるの? 早く行こうよ」
留美子の言葉に、「シッ!」と、人差し指を立てて口の前に持って来る。
私が、翔太と電話していた時に見せたやつだ。
準備室の中に入っていく、理恵の背中を見送りながら、廊下の音に集中した。
誰かが来れば、すぐにわかるほど廊下は静まりかえっている。
聞こえるのは、ゴウゴウという音と、準備室から聞こえる留美子と理恵の声だけ。
このまま準備室も調べ終わってくれれば……音楽室の前にも、下へと続く階段がある。
すぐそこに逃げればいい。
「ダメだよ明日香……ここには無かった」
しばらくして、ガッカリした様子で留美子が準備室から出て来た。
「そう……じゃあ、今ならまだ声も聞こえていないから、すぐに二階に下りよう」
そう返事をして、立ち上がろうとした時だった。
「……つかんであかをだす~」
あの歌を……微かではあるが、聞き取る事ができたのだ。
廊下から聞こえたその声に、慌てて私はドアに耳を当て直す。
「明日香? 何してるの? 早く行こうよ」
留美子の言葉に、「シッ!」と、人差し指を立てて口の前に持って来る。