目を閉じていれば何も見えない。


耳をふさいでいれば何も聞こえない。


胸がドキドキする。


こうしてから、何分経過しただろう。


目を閉じているから、時計も見る事ができない。


遥が怖い……来てほしくない。


「カラダ探し」をするんだから、もう頼みに来なくて良いじゃない。


どうしていつも来るの?


これも八代先生が言っていた「呪い」なの?


こうしているだけでも、精神状態が悪化しそうだ。


そんな事を考えていた時だった。






「明日香、もう大丈夫みたいだよ」





理恵のその言葉に、私はフウッと溜め息をついて、布団をめくり上げる。


ふたりとも、同じように起き上がって、私は理恵の肩を叩いた。


「もう……どうして大丈夫だってわかったの? もしかして時計を見た?」


フフッと笑う私を見つめて、理恵が青ざめた表情で首を横に振った。


「それ、私じゃない! 私は留美子に言われたから……」


その言葉の意味に気づいた時には……もう遅かった。


耳をふさいでいたのに……理恵の声が、あんなにはっきりと聞こえるわけがない。