パタンという音と共に、安堵の吐息を漏らす。


「そうだよね。『小野山美子』が、『赤い人』なら……八代先生は、これを知ってて私達に教えたんだよね?」


どうしてそれを知っていて、私達に調べさせたんだろう……。


何か釈然としないものを感じるけど、ひとつの謎が解けた。


「回りくどいっての! わかってるなら、ストレートに言ってくれればいいじゃん」


携帯電話を拾い上げ、私に手渡す留美子。


「そうだけど。でもさ、翔太とまともに話したの……久し振りだよね?」


理恵が言った言葉に、うなりながら考える留美子。


そう言えば……朝に、皆に合わす顔がないって言っていた翔太が、いつの間にか輪の中にいた。


「カラダ探し」ではひとりで動くのだろうけれど……。


一度はバラバラになった皆が、元に戻りつつある中で……健司の事だけが気かかりだ。


そしてもうひとつ……。


遥が来る時間が、迫っていたのだ。


時計は間もなく、遥が来る時間……21時。


高広が寝ていて気づかなかったと言うなら、目を閉じて、耳をふさいでいれば大丈夫かもしれない。


どうせ、「カラダ探し」をさせられるのだから、遥を見て、精神状態が悪くなる事だけは避けたい。


私達は、3人で布団に潜って、その時が経過するのを待っていた。