翔太は、そんな事を気にしていたの?


誰が見つけたとか、関係ないし、どうでも良い事じゃない。


「カラダ探し」を終わらせる事が先決なのに。


「だから、俺はカラダを見つけるまでは、ひとりで動く。おっと、皆と一緒にいるのが嫌なわけじゃないぜ? そうだな……男の意地ってやつだ」


……高広が、三日目の「カラダ探し」で、どうして危険だとわかっていながら生産棟に向かったのか。


私はあの時、意地を張っていると思ったけど……。


あれも男の意地ってやつなんだなと、今わかった。


単純な意地っ張りと、複雑な意地っ張り。


私は思わず、フフッと笑った。


男の意地というやつを、翔太に聞かせてもらった私は安心していた。


翔太も、喧嘩をしたくて高広と衝突していたわけじゃないとわかったから。


その後の話は簡単に済ませた。


八代先生の事は、私が言うよりも、直接会った方が良いと思う。


三限目の途中、八代先生は旧校舎の温室に行く。


そのわずかな時間だけ、話ができるのだ。


そんな事を考えながら、教室に戻った私と翔太。


留美子と理恵が、待ち構えていたかのように、私に駆け寄った。