「違うの、高広は健司に殺されたんだよ。留美子も、私もね」


冷静に話をしていた翔太も、さすがにこれには驚いたようで。上の段に座っている私の顔を、振り返って見つめた。


「殺された? どうやって……」


「包丁を持っていたから……生産棟の職員室でも入ったのかな?」


詳しく聞いたわけじゃないから、私にもわからない。


でも、それだけの話でも翔太は、衝撃を受けたようだった。


健司の凶行と、理恵が振り返った事を話すと、翔太は頭を抱えてうつむいた。


何を考えているのかはわからない。


もしかすると、自分が最初に、輪を乱す行動を取らなければ……なんて事を考えているのかもしれない。


「それで? 明日香は、俺も健司みたいになるんじゃないかって思ってるのか?」


「え!? あ……うん。それもあるけど。翔太も皆と協力してくれたらなって」


思っていた事を先に言われると、なんだか不意打ちをくらったみたいだ。


でも、そう思ってくれてるって事は、翔太も少なからず考えているのだと思う。


「明日香、疲れないか? そうやって人の間に入って、仲直りさせようとか考えるのは」


それはどういう意味なのだろう。