学校に着いてすぐに、私は教室に走った。


そう言えば「昨日」、翔太にも八代先生の事を話そうとして忘れていたから。


教室に入って、椅子に座っている翔太に歩み寄り、私は声をかけた。


「翔太、おはよう。ちょっと話があるんだけど、いい?」


「明日香おはよう。話ってなんだ?」


良かった、まだ翔太は大丈夫みたいだ。


内心、どう思っているかはわからないけれど、少なくとも私の目には普通に見える。


「ここじゃあ、翔太も話しにくいでしょ? ちょっと場所変えようか」


廊下の方を指差して言った私の言葉に、怪訝な表情で首を傾げる翔太。


「何だ? もしかして、健司の事か?」


それでも、椅子から立ち上がり、私の後についてくる。


「それもあるんだけどね。他にも教えておきたい事があるんだ」


健司が、カラダ探し中とは言え、私達を殺したと知ったら、翔太はどう思うだろう?


私ができる事なんて、たかが知れてる。


もしかすると、何もできないかもしれない。