高広も単純だから、すっかりそれに騙されるのだ。


もうすぐ理恵とも合流する……。


昨夜の事を気にしていないか心配だった。


「皆、おはよぅ。あの……私のせいで、ごめんね」


通学路のいつもの場所で、理恵が私達を待っていて、やっぱり昨夜の事を気にしている様子で謝ってきた。


「おはよー。あれは理恵のせいじゃないじゃん。理恵が謝る事ないよ」


少しうつむいている理恵に、笑顔で答える留美子。


高広に対する態度とは、えらい違いだ。


理恵を責める理由はないけど、高広を責める理由だってないはず。


「理恵、俺が健司に殺されたのが原因だ……すまん」


「た、高広は悪くないでしょ。私がいたから、皆に迷惑かかったわけだし」


頭を下げる高広に、驚いた様子で答える理恵。


「まあ、誰が悪いって、健司が悪いんだからさ。翔太にも教えてあげないとね」


健司があんな事になってしまったのだから、ずっとひとりでいる翔太だって、いつ精神状態が悪くなるかわからない。


ひとりでいるよりも、皆といる方が安心できるのだから。


「んー……翔太の事はもう、明日香に任せるよ。健司がした事と比べたら、翔太が可愛く思えてきたし」


頭をかきながら、溜め息をつく留美子。


翔太が素直に話を聞いてくれるとも思わないけど、これ以上敵を増やしたくない。


私はそう思っていた。