私だって、さすがに許す気にはなれなかった。




学校に行く準備をして家を出た私は、「昨日」と同じように玄関先で待つ高広に気づいた。


昨日、高広に健司の見張りを頼まなければ、高広が死ぬ事はなかったかもしれない。


そう思うと、声をかけるのも、なんだか気が引ける。


「あの……高広、おはよ」


「お、おう……」


そんな短い会話を交わして、私達は学校に向かって歩き出した。


会話もないまま、ずっと歩き続けるのは……正直気まずい。


かと言って、あいさつの後から何も話していないから、完全に話すタイミングを失ってしまった。


昨夜の健司の事、八代先生の事、私と留美子が殺された事。


話す事はいっぱいあるのに、高広が怒るかもしれないと思うと、なかなか話を切り出せない。


そんな事を考えているうちに、留美子が気だるそうな表情を浮かべながら、私達と合流した。


「留美子……おはよ」


「あ、ふたりともおはよー……ってか、高広! あんたなんで健司をしっかり見張ってなかったの!? おかげで私、健司に殺されたんだよ!! もしかしたら、理恵なんて犯されたかもしれないのに!!」


顔を会わせると同時に高広に突っかかる留美子。


「それは……大丈夫だよ。でも、私も理恵も、死んじゃったけどね」