チラチラと玄関を見るが、どうやら入る事をためらっているようで。


理恵も見たというあの夢を、夢の中全員が見ていたとしたら……。


私は、そんな留美子が何を考えているのかわかるような気がする。


あれが夢だとしても、自分が死んだ場所なのだから、入りたいはずがない。


それに、もしも「赤い人」を見てしまったら……。


噂では、放課後にひとりでいる時にしか現れないらしいけれど、それでも怖い。


「あ……明日香、理恵……」


恐怖に顔をひきつらせて、私達に駆け寄る留美子。


「やっぱり……留美子も見たんだね……あの夢……」


理恵がたずねるが、留美子は首を横に振った。


え? どういう事?


あの夢を見ていないのなら、留美子は何に怯えているのだろう。


「あれは……夢じゃない……私達、本当に死んだんだよ!」


私の身体を揺すり、留美子はそう言うけれど……。


死んだと言うなら、今ここにいる私達は何なのだろう?


「留美子、皆見てるよ……中に入ろうよ」


登校して来た生徒達が、何事かと私達を見ている。


「じゃあ、これを見なさいよ!」