そんな事を話しながら、渡り廊下を抜けて、生産棟に入った私達。


すぐそこにある階段へと向かったが……。


「あれ?」


私は、廊下の奥の方に……違和感を覚えた。


今、誰かがこちらを見ていたような……。


小さく、何か黒いモノが動いたような気がして、少しの間その場に立ち止まっていた。


「明日香? 何してんの、早く行くよ!」


ジッとそこを見ていた私に、声をかける留美子。


その声に我に返り、階段へと歩を進めた。


あれは、誰だったのだろう?


私が見たら、身を隠したような……。


一抹の不安を感じながら、私は留美子達の後を追った。


生産棟の三階に上がり、北側の突き当たりの部屋へと急ぐ。


思い返せば私は、「ここを調べよう」と思っても、その部屋を調べ終えた事が少ないような気がする。


皆はカラダを見つけたり、調べ終えたりしているのに。


でも……保健室を調べ終える事ができた。


この調子で、音楽室も調べ終える事が出来れば……また一歩、「カラダ探し」終了に近づくのだから、頑張らないといけない。


そうして、音楽室にたどり着いた私達。


呼吸を整えるのも、部屋の中に入ってから。


ハァハァと、息を切らせているのは私と留美子……理恵は深呼吸で落ち着いたようだ。