新校舎に戻り、玄関の中に入ると、外よりも冷たい空気が私達の肌をチクチクと刺すように刺激する。


そして、ドアが閉まる。

いつもなら、ここまでの時間は短いけれど、今日は旧校舎に行っていたから時間がかかってしまった。


「あれ、そう言えばさ、『カラダ探し』って私達が校舎に入らなくても、始まってるわけ?」


留美子の質問の意味が良くわからなかった。


私達が入らなければ、始まるはずがない……あれ?


それなら、先に入った男子はどうなるのだろう?


私達が校舎に入るまで、「赤い人」は現れていないのだろうか?


「もう始まってるんじゃないかな?全員入らないと始まらないなら、誰かがひとりでも外に残っていれば、『赤い人』が現れないって言いたいんでしょ?」


理恵が、私の抱いていた疑問を言葉にしてくれた。


「そんなに甘いわけないよね。じゃあさ、もう最初の校内放送……流れちゃったんじゃない?」


そこでやっと、留美子が何を言いたいのかが理解できた。


私達は最初に流れたであろう校内放送を聞くことができなかった。


つまり、「赤い人」が、今どこにいるかがわからないのだ。


「赤い人」がどこにいるかがわからない。


校内放送が流れた後なら、少しくらい時間が経っても、今どの辺りにいるという予想が付くのに。