「じゃあ、それはいいとして、私達はどこに行く? 図書室? 音楽室?」


「それより、校舎に入る前に、旧校舎の方に行ってみない?」


そうだ、校舎に入ったらドアが閉まるけど、入る前なら旧校舎にも行ける。


あの旧校舎に行くのは気味が悪いけど、私達が調べる場所は決まった。


そして、「その時」が訪れた。




0時を告げる、時計の電子音が鳴り、私達は生徒玄関の前にいたのだ。


そこにいる健司から身を隠すように、留美子の腕にしがみ付く理恵。


高広は、大の字で寝ていた。


「ちょっと! 高広、起きて!!」


慌てて駆け寄り、高広の身体を揺する私。


まだ眠そうな目をこすりながら、私を見た。


「ん!? 何で明日香が?って……学校じゃねぇか!!」


何がなんだかわからないと言った様子で、辺りを見回す高広。


「高広、あんたまさか、遥が来た事に気づかなかったの?」


「ん? やっぱり来たのか? 寝てたからわかんねぇ」


高広の言葉に、呆れたという表情を浮かべる留美子。


眠っていても頼まれた事になるのなら、その方が精神的には良いかもしれない。