叫ばなければ、恐怖心に押し潰されそうになったから。


こんな事なら、断らずに留美子と一緒に入れば良かったと後悔していた。






私が部屋に戻った時、留美子と理恵のふたりは、机の前で震えていた。


髪が濡れたままの私を見て、少し驚いたようだけど、私はひとりであの恐怖を味わったのだ。


遥は、確実に不意を突いて来ている。


まるで、私達を怖がらせて楽しんでいるような、そんな感じさえする。


「あ、明日香の所にも……来たの? 遥は」


怯える留美子に、フウッと溜め息をつき小さくうなずく。


「頭を洗ってる時に……後ろにいた」


私達は、とんでもない思い違いをしていたのかもしれない。


「カラダ探し」を頼みに来るのは、学校だけだと思い込んでいた。


でもそうじゃない。


噂話でもそうだけど、初日に来たメールには、「翌日に」頼みに来るとしか書かれていなかったのだから。


「こっちも最悪……私が明日香の布団に入ってたらさ、いつの間にか隣にいたんだよ? 布団の中に」


気づいたらそこにいる。やはり遥は、私達をおびえさせようとしているとしか思えない。


それとも、遥じゃない「誰か」が、そうしているのか。