「でもね、『赤い人』見てしまったら、校門を出るまで絶対に振り返ってはいけないよ。『カラダ探し』なんて『呪い』に、巻き込まれてはいけないんだ」


そう話すにつれ、八代先生の表情が徐々に険しくなる。


なんだろう? このザラッとした感覚は。


私達は「カラダ探し」の事しかきいていないのに、八代先生は、その先の事を言っているような気がする。


「あの……先生? 私達、『呪い』なんて言ってないんですけど」


恐る恐るたずねた理恵を、そのギョロッとした目で見る八代先生。


その表情が……怖い。


「ああ……そ、そうだったね。無駄に怖がらせてしまったかな?」


ハハッと、取って付けたような笑い。


明らかに不自然な八代先生の態度に、私は首を傾げてたずねた。


「八代先生、もしも……友達に『カラダ探し』を頼まれたら、どうすればいいんですか?」


その私の質問に、八代先生は目を閉じて考え込んだ。


何を考えているかはわからないけれど、この先生は、何かを知っているかもしれない。


「……ただの怪談話だよ。そんな事が起こるわけがないだろう? さあ、もうすぐ授業が終わって、他の先生方が戻って来る。見つかる前にここから出ていくんだ」