そう言い、その先生は鍵をポケットから取り出して、目の前のドアを解錠した。


その部屋の中は温室になっていて、この花の為に作られたであろう排水設備やスプリンクラーが、建物の造りとはミスマッチな印象を受ける。


「うわあ。なんか、学校の中とは思えないね、植物園にいるみたい」


笑顔で花を見つめ、その花びらにそっと手を近づける理恵。


「あぁ、触っちゃダメだよ! ここの花は、農業科の一年生が育ててるんだ。キミ達だって嫌だろ? 自分が作った物を、人に壊されるのは。デリケートな花もあるからね」


先生に言われて、慌てて手を引っ込める理恵。





この先生の名前は、八代友和先生。25歳独身彼女なし。


ちょっと不気味なその風貌では、彼女もいないのは理解できた。


「それで? キミ達はどうして授業をサボってるんだい?しかも、3人で……」


怒っている様子もなく、私達に優しくたずねる八代先生。


「八代先生は……『カラダ探し』って知ってますか?」


「『カラダ探し』? 僕がこの学校に通っていた時もあったなぁ、そんな怪談話。放課後にひとりでいると、『赤い人』が来るっていう話だろう?」


留美子の質問に、少し考えるようにして、八代先生は答えた。