「うわぁ、やっぱ古いねぇ。それに、なんか土臭い」
旧校舎に入った留美子の第一声はそれだった。
「不気味だね、夜の校舎と同じくらい……」
私はそう呟き、旧校舎の玄関を見回した。
旧校舎……と、言うよりは、農村の村役場といった雰囲気が漂っている。
「カラダ探し」の渦中にいるせいか、壁のシミでさえ、人の顔に見えてしまう。
ブルッと身震いをして、私はなるべくそれらを見ないように留美子の後ろについて歩いていた。
「あ、見て見て。この部屋の中、花がいっぱいあるよ」
旧校舎の南側……ガラスで囲まれた半円形の部屋の中には、色んな花の鉢や、プランター等が置かれていたのだ。
「うわぁ! きれいだね。旧校舎にこんな部屋があったんだ」
理恵が目を輝かせて室内をのぞく。
「あー……やっぱり鍵がかかってるかぁ……」
ドアを開けようとした留美子が、残念そうに溜め息をつく。
「カラダ探し」の時は、すべての部屋の錠が外れているけれど……やっぱり昼間はしっかり施錠してある。
「次、行こっか?」
そう呟いて、振り返った留美子。
だが、その表情が一瞬にして変わり……。