知らないうちに、私の目から涙が流れていた。


理恵の気持ちも考えないで、嫌味を言う翔太も、その挑発に乗る高広も……。


被害者を無視して喧嘩を始める意味がわからなかった。


高広と翔太の喧嘩は、私が泣いた事で止める事ができた。


でも、溝が埋まったわけじゃない。


少しずつ変わっている「昨日」の中で、変わらない高広と翔太の関係。


授業中でも、少しずつ変化が見られたけど、どれもこれも、私達には関係のない変化。


もしかして、遥が「カラダ探し」を頼みに来なくなるかもしれない……。


そんな淡い期待を一瞬抱いたけれど、遥を見ると、首だけが回るのは相変わらず。


まだカラダは五つも残っているのだから、頼みに来ないはずがない。


それよりも、学校に来ていない健司はどうなるのだろう?


まさか、それで「カラダ探し」から逃れられるとは思わないけれど、家にまで遥が来たら……。


考えただけで恐ろしい。


そんな事を考えながら、窓の外をボーッと眺めていた時だった。





ヴヴヴヴヴヴヴ……。



ヴヴヴヴヴヴヴ……。





ポケットの中に入れていた、携帯電話が震えた。