私達だって、この猫と同じなのだ。


次の瞬間には、死んでいるかもしれないという事に関しては。


前方から車が来た。


あの車にひかれてしまう。


死ぬところを見たくない……と、思わず顔を逸らした時だった。


「ミャー」


猫が……留美子の足元に寄ってきたのだ。


「え……な、何で?」


その光景に驚く私達。


「ん? 猫がどうかしたのか?」


高広は、この猫の事を知らないようだけど、猫が死ななかった。


それは、私達が知ってる「昨日」とは、少し違った「昨日」になっているかもしれないという事だった。


学校に着き、私達が教室に入っても、妙な違和感は消えなかった。


いつも窓枠に腰かけて話している男子が別の場所にいたり、机の上に置かれていた、飲みかけのペットボトルが今日はなかったり。


たとえるなら、「間違い探し」のような感覚。
今日が「昨日」である事に変わりはないけれど、どこかが少しずつ変わっていたのだ。