それともその逆で、「赤い人」が移動した場所を、校内放送で知らせてくれているのか。


放送室に行けば、何かがわかると思ったから。


「放送室……放送室……あった、東棟の二階」


二日目に、私が入った教室の奥の方。


ここからだと、この壁の裏にある階段を上がって、南側に向かえば良い。


それを確認した時、西棟から聞こえたあの笑い声。



「キャハハハハハハハハッ!」



「赤い人」が近づいてきた……。


このまま引きつけて、放送室に向かわなきゃ。


「留美子も理恵も、頑張ってよね……」


そう呟いて、二階へと続く階段を上った。


二階に着いて、南側に向かって走る。


教室を二つ通り過ぎると、そこには「放送室」とプレートが掲げられた部屋があったのだ。



「ハァ……ハァ……放送室って、こんなとこに……あったんだ……」



振り向いてはならないという、半死刑宣告を受けているから、後ろを気にする事もできない。


夜の学校なんて、ただでさえ背後が気になるのに。


胸に手を当て、呼吸を整えて、私は放送室のドアノブに手をかけたその時。








『「赤い人」が、森崎明日香さんの背後に現れました。振り返って確認してください』