「可能性はあるよね。屋上の避雷針に遥の頭が刺さってたりして? ごめん、マジで笑えないわ」


自分で言った事なのに、首を横に振りながら、顔の前で手をヒラヒラと振ってみせる留美子。


本当にそんな事になったら、きっと私はそれを取れない。


腰の部分を持つだけでも、気味が悪かったのに……。


「留美子も理恵もさ、遥の頭を見つけたら……それ、持てる?」


言葉にするだけで寒気がする。


ふたりとも、想像してみたのだろう、小さく震えて首を横に振った。


「そんなの、男子にやらせればいいじゃん……想像しただけで気持ち悪いよ」


留美子がそう言った時だった。


屋上の話が出たから、ふとその方向を見てしまった私。







その屋上から、笑いながらこちらを見ている「赤い人」と、目が合ってしまったのだ。


瞬間、全身にビリッと電気が走ったような感覚と、なでられているような悪寒に包まれる。


どうしよう。「赤い人」を見ちゃった。


それに、こっちを見て笑っていた。


つまり、このままだと「赤い人」は、ここに来る可能性がある。


「あれ、明日香? どうしたの? 急に立ち止まって」