それとも、健司の事など意にも介さない程、どうでもいいと思っているのか。


私にはわからない。


ただ、男子が怖いのだろうという事だけはわかる。


「んー、見なきゃ良いんじゃない?死体なんて、見るものじゃないしね」


と、留美子が放送室を出た時だった。







『「赤い人」が、西棟屋上に現れました。皆さん気を付けてください』








いつもとは違う、その校内放送に私達は顔を見合わせた。


「屋上……外なのに、屋上は出る事ができるの?」


校内放送の言葉には、何か引っかかるものがあった。


屋上に出る事ができる。


それはつまり、外に出られるという事。


私達は、その話をしながら、見物席を歩いていた。


「と、言う事は……屋上から長いロープでも使えば、外に出られるんじゃないの?」


「留美子、校門から出られない事忘れてない?」


「あ、そっか。じゃあダメだね」


なんて、どうでもいい話ができるくらい、3人でいると安心する。


ひとりでいる時と比べたら……そう、心にゆとりを感じる。


「でも、『赤い人』が屋上にいるって事は、屋上にもカラダが隠されてる可能性があるって事なのかな?」


相変わらず留美子にくっついて歩く理恵が、首を傾げて言った。