倉庫から顔を出し、辺りを見渡す留美子。


血塗れの私を見て、驚いたような表情を浮かべる。


「大丈夫。『赤い人』は見てないから、振り返ってもね」


その言葉に安心したのか、理恵と一緒に私に駆け寄る。


「大丈夫じゃないよ! 明日香、無茶して!」


「ホントだよ。あーあ……脚もパンツも真っ赤じゃん」


留美子の言葉に、慌ててスカートを直す。


「もう! 私、殺されそうになったんだよ!」


なんて、冗談を言いながら……殺されなかった事を思うと、また涙があふれた。


でも、私が殺されなかった代わりに、誰かが殺されたのだ。


高広は工業棟に行くと言っていたから……恐らく、死んだのは翔太。
私は、そう考えていた。


私達は、そのまま二階の倉庫を調べる事にした。


体育館も、カラダ探しの対象範囲内なら、ひとつでも多くの部屋を潰しておいた方が良いと思ったから。


「え? 優先順位?」


「うん、『赤い人』が私にしがみ付いて、歌を唄ってたんだけど、後一小節で終わるって時に、校内放送が流れてさ……それでいなくなったんだ」


校内放送が先か、「赤い人」が消えたのが先かはわからない。


ほぼ同時だったような気もするし、校内放送が先だったような気もする。