そう思い、階段に差しかかった時だった。


ゴロゴロゴロ……。


まるで、障子かふすまでも開けるかのように、滑らかにローラーが転がる音が、背後から聞こえたのだ。


「も、もしかして、もう扉が開いたの!? 嘘でしょ!?」


留美子がそう言うのもわかる。


でも、振り返る余裕なんてないから、このまま走るしかない!




「キャーハハハハハハッ!」




「赤い人」の笑い声が、体育館に響き渡る。
そして……。






ペタペタペタペタペタペタペタペタッ!!






と、恐ろしく小刻みな足音が聞こえる。


「赤い人」は、確実にこちらに迫ってきていた。


その恐怖を背中に感じながら、階段を駆け上がる。


不安が、体から脚へと伝わり、脚を上げるのも辛い。


そして、ようやく階段を上り切った時、私は悩んだ。


左に行けば見物席に出る。


右に行けば倉庫がある。