男子全員が信用できない留美子にとっては、誰が来ても同じなのだろう。


私達は、その重い扉を力一杯押して……それは閉められた。


そして……。


ドンッ!!　と、向こう側で誰かが、扉にぶつかった音が聞こえた。


「あ、開けてくれ!!　『赤い人』が！　『赤い人』が来てるんだよ!!」


それは、健司の声だった。


「開けるわけないでしょ！　あんた、自分が何したのかわかってんの!?」


健司の声に、留美子が扉越しに怒鳴り付けた。


あれだけの事をしておいて、よくもここに来られたものだ。


「俺だって何が何だか!!　でも謝る！　悪かった!!　悪かったから！　早く開けてくれ!!　頼む!!」


ドンドンと何度も扉を叩き、懇願する健司。


「謝って済む問題じゃないでしょ!!　こんな時に、何を思ってあんな事したのよ！」


扉が開かないように押しながら、私も叫ぶ。


生きる為に仲間を犠牲にした翔太よりも……。


自分の意地の為に仲間を巻き込んだ高広よりも……。


自分の欲望の為に、理恵を強姦しようとした健司が許せない。


「助けて……助けて!!　ああああっ!!　は、放せっ!!」


「赤い人」にしがみ付かれたのだろう……。