理恵は大丈夫と言っているけど……とても大丈夫そうには見えない。


「理恵、無理しないで。『赤い人』も遠くにいるんだからさ……まだ休んでいても大丈夫だよ」


私は優しく理恵の頭を抱き締めて、頬を寄せる。


大切な友達なのだから。これくらいしかしてあげられないけれど。


「そうだよ理恵、私達に任せてもう少し休んでたら良いよ」


そう言い、笑顔を向ける留美子が、部屋の中を物色し始めた。


ロッカーや引き出し、机の下と、理恵の分も探そうという気持ちの現れだろうか。


「うーん……ないなあ。隣の部屋に行ってくるね」


留美子はそう言うけど、3人で動かなければ、またいつ健司が襲ってくるかわからない。


いや、健司だけじゃない。あれほど言い合った翔太の方が怖い。


それも、留美子を狙うという可能性を考えた方が良いと思う。


プライドの高い翔太に、あれだけの事を言ったのだから。


そう考えると、健司も翔太も、怖く感じてしまう。


高広は、私の部屋にいて、私を無視して寝るくらいだから、そんな事はしないと思うけど。