「うわっ、寒っ! 外の方が暖かいんじゃねぇの?」


そう、高広が言った時だった。










キィィィィィィ……。








という音を立てて、玄関のドアが閉まった。


「明日香、ドアを閉めるなよ。中の方が寒いんだ。俺は外で待ってるからよ、お前らで『カラダ探し』でも何でもやっててくれ」


高広がそう言いながら、ドアの方に向かった時だった。







ザザッ……トントン……。







という音が、備え付けのスピーカーが聞こえてきた。


こんな時間なのに校内放送?
私達の他にも、誰か校内にいるのだろうか?












『「赤い人」が、生徒玄関に現れました。皆さん気を付けてください』










低く、ゆっくりとしたその声に、私は言い様のない恐怖を覚えた。


ただでさえ「赤い人」に過剰反応してしまうのに。


「うん? 生徒玄関ってここじゃん……高広、何やってんのよ。早くドアを開けてよ」


留美子が「馬鹿馬鹿しい」といった様子で高広をせかすけど、当の高広は何だかあせっている様子でドアを揺すっていた。