つまり、「カラダ探し」の最中は、こちら側からじゃないと体育館には行けないのだ。


「じゃ、開けるよ。せーのっ!!」


扉の取っ手を持ち、留美子の合図で扉を引いた。


ゴロゴロと、ローラーがゆっくり回る音が聞こえて、人がひとり通れるだけの隙間が開く。


その中をのぞくと……校舎の中よりはマシだけど、それでも冷たい空気が漂っていた。


「うわっ……夜の体育館って不気味だね……」


体育館の中に入って一言、留美子はそう呟いた。


確かに不気味だ。


校舎も不気味だけど、その広い空間のせいか、声も、足音も響いて……。

校舎とは違った意味で、気味の悪さを感じていた。


「んー、私と理恵は下の部屋探すから、明日香は二階の見物席とか倉庫を探してよ」


「あ、うん……わかった」


留美子に指示されるままに、私は階段へと向かった。


キュッキュッという靴の音が館内に響き渡る。
私はこの音は嫌いじゃない。


だけど、「カラダ探し」の最中に聞いても、不気味に聞こえるだけ。


「そう言えば、首のないバスケットボール部員の幽霊が、自分の頭をドリブルしてるって怪談話もあったよね……」