いつもと変わらない、死刑執行前の緊張が、こうして遊んでる私達にも不安を与えていた。


時間が経過するにつれ、口数も減り、どこに行くという目的も無くなってくる。


それでも、少しでも不安を和らげようと、話をしてみるものの、すぐに会話は終わってしまう。


そうして、あてもなく街をブラブラと歩いていたら、私達が通っていた中学校の前を通りかかった。


そして、それを見た留美子が、首を傾げながら口を開いた。


「そう言えばさ、中学校に武道館ってあったじゃん? 校舎から離れてるやつ」


武道館……柔道の授業で使っていた、本校舎から離れた建物だ。


「あったね、でもそれがどうかした?」


「んー、ちょっと気になってさ。中学校の武道館って、本校舎から離れた所にあったじゃん? うちの学校の旧校舎も、離れた所にあるじゃん。あれも『カラダ探し』の対象なわけ?」


確かに、そう言われれば、私達がカラダ探しをしている新校舎とは離れた場所に旧校舎があって、そこに行く連絡通路はない。


一度、外に出なければならないのだ。


「外に出られないなら、関係ないんじゃないかな? だって、行けないでしょ?」


私はそう言ったものの、留美子に言われて、旧校舎の事が気になり始めていた。