その言葉に、ハッと目を開けた私の目の前には……。




屋上から落ちたそのままの姿で、遥が立っていたのだ。


そして、私達にそう言うと、遥は校舎の中に戻っていった。


遥は……落ちたはずだよね?


地面の上で倒れてたはずだよね?


なのに、時間になったら私達の目の前に現れた。


「もう……何をしても無駄じゃない。こんなの」


諦めたようにそう呟いた留美子に、私も理恵も何も言えなかった。


結局、翔太の言う通り、殺したのに遥は死ななかった。


私達の心に残ったのは、恐怖と不安、そして絶望感だけ。


恐らく、遥にどんな事をしても、私達がどこに逃げても、その時間が来れば、遥は「カラダ探し」を頼みにくる。


ひどい姿で現れて、頼まれるくらいなら、何もせずに頼まれた方が、精神衛生上良いような気がして。


私達は教室に戻った。




教室の中に入ると、翔太が血相を変えて私達に駆け寄り、怒りをあらわにして、口を開いた。


「俺は……『昨日』、遥を殺したって言ったよな!? 今日のは何だよ!! 血まみれだったじゃないかよ!!」


「あーっ! もう!! うっせーんだよ、翔太! あんたが信用出来ねーから、私らがやったんだろーが!!」


「それで、死んだのかよ!! 遥は死んだのか!? あんな姿で現れるくらいなら、普通に頼まれた方が、何倍もマシだ!!」