その場に立ち尽くす私達。


「何? 何なの!? どうして柵が壊れるのよ!? あり得ないし!」


不安を感じたのだろうか?


それを振り払うように叫び、柵に近づく留美子。


私も柵に近寄り、その切断面を見ると、腐食や元から壊れていたというわけじゃない。


今、何かで切断されたような……切り口が新しいものだった。


「そ、それより……遥は?」


恐る恐る、こちらに近づいて来る理恵。


そうだ、遥は屋上から落ちたんだ。


留美子にしてみれば、そうするつもりだったのだろうけど。


予想していなかった事が起きたせいか、遥を押したその手は、ブルブルと震えていたのだ。


そして、私が屋上から下をのぞき込むと……。







ここからずっと下、アスファルトの上で、こちらを見つめる遥の姿が、そこにはあった。


口から血を流し、遥の身体から流れ出る血が、アスファルトを赤く染めていく。


思わず顔をそらし、そこから離れた私は、それを忘れたくて、目を閉じた。










「ねえ、皆……私のカラダを探して」