そして、私達が全員付いて来た事を確認して、口を開いた。


「遥! あんたのせいで、私達は毎日大変なんだよ! もう、いい加減にしてよね!」


そう言いながら、遥に歩み寄る留美子。


私と理恵は何も言わずに、それを黙って見ているだけ。


そしてまた、遥も何も言わない。


「あんた、何か言ったら!? 『カラダを探して』しか言えないわけ!?」


無表情のまま、ただ目の前にいる遥を見ているだけの遥に、留美子が怒ったように声を上げた。


そして肩をつかみ、柵の方に遥を押したのだ。
後ろ向きによろめきながら、柵に背中から当たる遥。


それでも、本当のマネキンのように、表情が変わる事はない。


いつもなら、止める所だけど、「カラダ探し」を頼まれたくない私は、留美子の行動を見るしかなかった。


「これでも何も言わないわけ!? あんた、私をナメてんの!?」


そう言って、遥に歩み寄り、胸をドンッと押した時だった。


私の胸くらいの高さの、ステンレス製の柵。


そこから、パキン!という音がして……遥の身体が通るくらいの幅の柵が、切断されて倒れたのだ。


その間を、遥はよろめきながら通過して、屋上から転落した。


何が起こったのか、まったくわからず。