「どうして、碧は幽霊になってまで、あたしの そばにいてくれたの……?」



答え合せをするみたいな掛け合いのあと、蒼唯が声を絞り出して問いかけてきた。


どうしてかって?
その答えは、どんな問題を解くよりも簡単。


君が好きだからだよ。


でも、それを伝える前に、俺がどれだけ蒼唯を想っていたか知って欲しい。蒼唯を助けるためなら、自分がどうなってもよかった。


断片的な記憶が、これで繋がってくれればいい。


そう思って、俺は蒼唯にキスをした。


蒼唯にとってつらい現実かもしれないけど、俺はあの時蒼唯が俺を助けてくれようとしたお礼もしたい。


全部を見たあと、ごめんと謝る蒼唯をいつもより強い口調で諭して、それから、やっと4年越しの思いを伝えた。


「あの時、迷わず俺を助けてくれて、ありがとう。すごく嬉しかったよ」


自然と、俺は笑顔になっていた。



「好きだよ。
生きてた頃も、死んでからもずっと。
蒼唯、君のことが大好きだった」



とうとう言えた。


やっと、君に伝えられた。


遅くなっちゃって、ごめんね、蒼唯。


言えたあとの俺の心は、驚くほど軽くて清々しかった。







思い残すことがなくなり、じきに俺はもう消える。


だから、蒼唯に笑ってほしい。


でも、俺の気持ちとは反対に、蒼唯は涙を流しながら俺を行かせまいとする。



「あたしも、ずっとずっと、碧のことが好きだ ったんだからぁっ……!!」



俺の告白の返事を、蒼唯は泣きながらそう言った。


さらに、俺にしがみつくようにして胸に顔を押し付け、蒼唯が泣きながら子供のように俺を引き止めようとする。


嬉しくて嬉しくて、またそばにいたいという欲が出てきそうになる。
でもそれ以上に、その言葉を聞けたこと、俺と同じだったということ、ここまで強く想ってくれていたことが幸せだった。


死んでもなお、こんな幸せを味わえるなんて。


ありがとう、最期にそれが聞けてよかった……。


俺は泣きじゃくる蒼唯をなんとかなだめて、俺は覚悟を決めた。


体がすけて、感覚がなくなっていく。


本当にお別れだ。


改めてそれを実感すると、俺は初めて涙が出た。


「最期のお願い。 笑って、蒼唯」


俺の願い通り、蒼唯は涙でぐしゃぐしゃになりながらも、今まで見た中で一番綺麗な笑顔を見せてくれた。


名残惜しくて、そんな蒼唯に何回かキスをして。



「たぶん、俺は生まれ変わっても、 また君のことを好きになる」







我ながらクサイセリフだと思う。


でも、これが俺の心からの気持ち。


俺が生まれ変わって、今度は俺が蒼唯のことを忘れてしまっても、それでも絶対、蒼唯のことを好きになる。


そんな気がした。それほどの気持ちだった。


俺は蒼唯を抱きしめて、蒼唯は俺を抱きしめる。
でも、俺の腕は蒼唯をとらえられない。抱きしめている感覚なんてもうない。それはきっと、蒼唯もそうだろう。


だとしても、蒼唯の笑顔はこの目にしっかりと映っているから、もうそれでいい。



「大好きだよ、碧。
生まれ変わった姿でも、絶対見つけてみせるから。ずっと待ってるから……」



今度は君が、待ってくれるというんだね。


こぼれた涙は、蒼唯の頬に落ちた。


“碧っ……!”


蒼唯が最期に俺の名前を呼んでくれ、それからぎこちなく、俺の唇に蒼唯のそれが重ねられた。


蒼唯……。


短くも優しいキスのあと、俺の体をまぶしい光が包み込む。


「さようなら」


聞こえただろうか、ちゃんと。蒼唯に。


俺の体は宙に舞い、どんどん上空へとあがっていく。
蒼唯は、俺が見えなくなるまでずっと、下から手を振って見送ってくれた。


好きだよ、蒼唯。


今までありがとう。いっぱい、ありがとう。


助けてくれて、出会って、好きになってくれて、ありがとう。


だから、どうか幸せに。
俺の大好きな蒼唯が、この青空の下で、いつも笑って過ごしていられるように。


「空(ここ)から、見守っているからね」


だから、生まれ変わって、もしまた逢えたら、



その時は今度こそずっと一緒に……。





―fin.―







※本編ネタバレ有!未読の方は注意!※



初めましての方も、お久しぶりですの方も!どうもです、作者の実沙季と申します。


『青空にさよなら』を読んでくださり、誠にありがとうございます。いかがだったでしょうか?


この作品は、“いじめ”と“幽霊に恋”の2つをテーマに物語が展開していきます。


もともとこの2つのテーマは、それぞれ別々の物語として考えていたのですが、冒頭で橋の上から主人公が飛び降りようとしているシーンを書いている時に、「よし、助けるのは実は幽霊だ」と思いついてしまい、結果こうなってしまいました(笑)。


私自身、この主人公ほどひどくはないですが、仲間はずれにされている友達と仲良くしてたら、同じように仲間はずれにされてしまった経験があります。それで、一度はこういう現実にある問題をテーマに作品を書いてみたいとずっと考えておりました。
でも、実際に経験されている人はこれよりももっと苦しい目に遭っているんだろうなと思うと、やはり難しいテーマに挑戦したのは私には無謀だったようで反省しております。


それでも、この作品には私なりにたくさんのメッセージを込めたつもりです。作中で頻繁に出てくる“ひとりじゃないから”という言葉もそうです。


確かに主人公は恵まれた環境にいるかもしれません。でも、きっと今いじめで苦しんでいる方たちだって、家族なり友達なり先生なり、自分が気づいていないだけで力になってくれる人が一人はいるのでないか、いてほしいと私は思うのです。

もし、まだそんな存在を見つけられていないなら、この作品を読んで「きっと絶対、いつか味方になってくれる人に出会えるはず!」と前向きな気持ちになってもらえたら嬉しいです。


それはそうと、後半のファンタジック感が半端ないですね……。まあ、これもこの作品の味だと思って頂ければ幸いです(笑)。


最後になりましたが、この作品を見つけてくださり、ここまで読んでくださった読者様、本当にありがとうございます。
この作品の中で、何かひとつでもあなた様の心に響くものがあればこれほど嬉しいことはありません。

まだまだ未熟者ですが、これからも頑張っていく所存ですので、応援してくださると有り難いです。
それではまた、次回の作品で会いましょう!





2015.4.30 実沙季




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