思わず竹本の姿を探してしまうが、当たり前だがどこにも姿は見えなかった。

「ほら、早く」
クロにせかされて歩みを進める。

 突き当たりの部屋に来ると、こっそり中をのぞいてみる。

「あれ?」

 祖母のいるはずの個室には知らない人が寝ていた。

「あれが福嶋タキか?」

「ううん。違う」
入り口のネームプレートを確認しようとするが、個人情報保護の観点からこの病院には名札がないことを思い出す。

「いないのか?」

「おかしいな・・・部屋変わったのかも」

「おいおい」クロが天を仰ぎ見るように嘆く。
「どうやって見つけるんだよ」