「おう、ようやく起きたか」
あいかわらず黒いスーツのクロが笑っている。

「おはよう、クロ。なんか夢・・・見た」

「興味ない」
笑顔のままクロがベッドのそばに腰掛ける。

「だと思った」

「もう起きられるのか?」

 ゆっくり身体を起こしてベッドの上に座ってみる。

「うん、もうフラフラしない。大丈夫じゃないかな」

「本当に?」

「うん」

 さらに立ち上がって元気さをアピールして見せた。

「それだけできりゃたいしたもんだ。よし、もう少ししたら出発するか」

 その言葉に大きくうなずいて同意を示した。

「あ、クロ。さっきさ、目覚まし時計みたいな音してなかった?」
思い出してそう尋ねた。

「へ?」クロは眉をひそめると、
「知らん」
と首を振った。