痛みに目が覚めたような感覚になる。起き上がろうとしたが、身体に力が入らない。

「蛍、近づくな!」

___ああ、この声はクロだ

 顔だけをかろうじて上げて声の方を見ると、竹本と私の間に立ちふさがってクロが叫んでいた。周りには嵐のような風が吹き荒れている。

「あ・・・」
クロの向こう側に、何か巨大な黒い塊があった。

 それは、さっきまでは竹本だった物体だった。

 膨れ上がった身体がグロテスクに成長している。

「おのれ、邪魔しおってぇぇ」
ものすごい形相で地響きを上げて叫んでいる。

 クロが両手を挙げて何かを叫ぶ。

 風が舞い上がり、まばゆい光が竹本を包む。

 目が開けられない。