「お前さ、そんなにそいつのこと好きなのか?」

 その言い方があまりにも不思議そうな言い方なので、思わず私は吹き出した。

「何笑ってんだよ」

「クロは恋愛感情とか持ったことないわけ?」

「ない。そういうのはよく分からん」

 へぇ・・・と思って私はクロを見つめた。
「誰かを愛しく思ったりとか、そばにいたいって思ったり、もっと話をしたいって願ったり。そういうのないんだ?」

 クロは初めて聞いた言葉のように眉をひそめて固まる。考えているのだろう。たっぷりの間をとったあと、クロはきっぱりと言った。
「ない」

 自然にクロと歩き出す。

 学校までは1キロもないかもしれない。

「蓮とはずっと友達だったの」

 チラッとクロがこっちを見たが、何も言わずに前を向きなおす。