外に出るとクロが学校の方に向かって歩き出そうとする。

 今日も彼はグラウンドにいるのだろう。


「・・・行かないのか?」

 地面に縛られたように動けずにいる私に言う。

 気づけばアスファルトを見つめていた。

 分かっている、分かっている。

 大高蓮に会うことが、何よりも必要なのだ、と。

「怖いのか?」

___怖い?

「そうかもしれない。なんか、心の準備ができなくって」

 なぜか正直な言葉がこぼれた。

 会えば、彼が余計に恋しくなる。


 そして、私はきっと泣くでしょう。