借りれない本を
ジッと見つめるのはつらい。
今日に限って
見たいのが揃ってる。
家を出るなという事か?
この図書館は
貴ちゃんと綾子が裏で糸を引いているとか……は、ないな。
苦笑いして
奥へ進んで作家名【あ】の棚からずーっと見歩く。
今日でお別れ
ズルズルと足を引きずるように歩いていると、お目当ての人がそこに立っていた。
のび太君。
くすんだ緑のカーディガンより、白衣の方が似合ってたな。
私はそのまま
じっと観察
初めてのおつかいを見守る
母親の気分で
気配を消しながら、彼を見つめる。
短い指が愛らしい
細い目が魅力的
さようならのび太君。
出会えて嬉しかった
いつぞやは
ストーカーさせてくれてありがとう。
妄想させてくれてありがとう。
抱かれたかったよ
一度
えっちしたかった。