次の日
パートに行って
幸代さんと美奈子さんにご挨拶。

「お世話になりました」

それだけ言えば
全て理解してくれた。

さすが
人生の先輩。

「これからどうするの?」

「わかりません」

「もらえるものはもらいなさいよ」

「でも、こっそり出て行きますから」

一応
夜逃げを目指してる。

「宮ちゃんは計画性がないし、行き当たりばったりの面があるけど、何とかなるさって、乗り越える力もあると思うから頑張って」

ゆっくりと子供に言い聞かすよう
美奈子さんが言う

「決断が遅い」

四角い顔をもっと四角くさせて
幸代さんが言う

「悪い男に引っ掛かるんじゃないよ!顔で選ぶんじゃないよ!男は顔より生活力なんだから」

「はい」と、小さく返事すると

「その返事は怪しい」って幸代さんに怒られるけど、私はヘヘヘと笑った。

「私も佐藤浩市と酒井くにおなら、佐藤浩市を選ぶかも」

美奈子さんは優しく微笑んで
そっと眼鏡を拭きなおす。

酒井くにお
また調べるキーワードが増えた。

私の知らない事を沢山知ってる二人の先輩に、もっと教えてもらいたかったと心から思った。